ルールよりも自分が正義だ。



001 こどもは けっこう、執念ぶかいんだよ。



「だーかーらさぁ獄寺、二万ドル俺にくれって」
「うるせぇ」
 結構な厚みのある札束を片手に言う山本を、獄寺は睨み付けた。その横でツナが苦笑し
ている。
「獄寺君、従った方が……」
「だって十代目! なんで俺がこいつにそんな金をやらなきゃならないんスか!」
「いやだからさ、橋渡ったじゃん。橋の権利、今俺にあるから。通るときは俺に二万渡さ
ないと。これルールだから」
「くそ、てめぇ!」
「うるさいよ」
 静かに雲雀が言う。しかしそこはかとなく機嫌が悪そうに、やりとりに一瞥をくれる。
「雲雀、てめぇ」
「獄寺君! あ、じゃあ俺が払うのは!? 山本、俺が払うよ!」
「いや、ツナからはもうもらったし……」
「十代目! そんな!」
「じゃあ、山本に二万、渡してくれる……?」
「……チッ、もってけドロボー!」
 また紙幣が獄寺の手から山本へと渡った。山本が笑う。
「毎度ありー」
「うるせ!」
 そこまでふ、と、黙り込んでいた雲雀が、口を開いた。


「あ、僕結婚するよ」


 一瞬、沈黙がよぎる。






 獄寺がとうとうボードをひっくり返した。
「うわあ!」
「やり直しだやり直しぃ!! もう一度、最初から行くぞ!」
「ごご、獄寺君落ち着いてー!!」
「雲雀早いなー進めるの」
「君たちがごちゃごちゃ遅いんだよ」
 ざかざかと散らばった紙幣を山本が集める。面倒臭そうに雲雀はそれを見て、足でいく
つかの紙を山本の方へ寄せた。
 ツナが辺りに転がっている駒を集める。
「ああ、また最初からか……」
「これで三度目だなー」
「うるせー!!」
 再び獄寺がいきり立つ。

「つーかさツナ、獄寺のあの負け方は逆に凄いと思わねぇか?」
「うん……雲雀さんの勝ち方もね」

(あー、何で人生ゲームなんてしてるんだろ、俺達)




2007/03/11 ほんと何故人生ゲームなぞしてるんですか、君たち。
      どうせ衝動の作品です。獄寺は頭脳を無駄なところで活かせないと楽しいな
     あ。雲雀さんは運の神様がいつでも背後に君臨しているので最強です。
      極限お兄さんがいないよ! だってあの人がいたらもろゲームになってしま
     うのだもの!! 冒頭でばれる!
      ちなみに、山本の言っていた「橋の権利は〜」は、ほんとに人生ゲームであ
     るルールです。一番最初に橋を渡りきった人が次から通った人に二万円請求で
     きるという。そして雲雀が山本に橋の権利を譲渡しました、という。