015 細工を凝らした君の愛ほど、みすぼらしいものはないよ。 いらないからあげる。 ディーノの指は細くて長い上に、爪もきちんと整っている。 特にその手が書類を捲るときなど、紙と肌色の食い違いにぞくりとし、口元に持ってい かれたときはやや赤みのある唇を指先がなぞる。そのギャップが堪らない。 銀食器も良い。フォークを力が入っていないかのようにふらふらと手に取ると、磨き抜 かれた銀に白い肌が写り込む。刃の先に肉を刺す、口に運ぶ、咀嚼。どの動作をみても、 浮いて見える白い手が視線の行き先を奪う。 菓子を指先で摘めば、赤い舌がちろりと爪を舐める。 堪らない。 じっと観察しながら、思う。 どこまでも芸術的な存在だ、この男は。 「なんだ?」 じっと見ていたのにようやく気付いたのか、ディーノが雲雀を見た。 「別に」と小さく呟いて、自分の前にあるパスタに手を付ける。 変なの、とでも言いたげに首を傾げると、ディーノはサラダを口に運んだ。 「君に」 「ん?」 「美的センスがあるとは到底思えないけど」 「酷ぇ」 「君の存在自体は美的センスだね」 「は?」 暫くその言葉の意味を辿っていたのか、首を傾けていたディーノはややあってにっと笑 う。 「そりゃ、俺の存在は愛のためだから」 「浅いね」 「酷ぇ」 ディーノの顔が引きつる。ふっと笑って、間抜けな顔をしたその口の中にパスタを運ん でやった。 2007/03/11 そろそろお題に従えと神の声が聞こえてきます。カーミコロスヨー! 神殺 すよ? いつの間にディノヒバになったんだろう。山ヒバ&骸ディノ骸な二人のやりと りを書きたかったはずなのに。あれでも見ようによってはそれなりにーしかし それで通すんだったらこの後二人の恋人がやってきて家政婦はみちゃったよ的 な展開にああもうどうでも良いじゃん。ホントはそういう話にするつもりだっ たのですが、どっちで読めても面白いよなとあえて修正入れませんでした。 攻め二人の掛け合いも書きたいな。山本&骸て実は書いたこと無いよ今気付い た。