※捏造十年後。骸はボンゴレに保護されたことになってます。 Halfway 「これは?」 「日本のチョコレート」 折角の特別な日だから、ちょっと足伸ばしてきたんだよ。目の前の男は金髪をくしゃく しゃとやりながらそういう。 ほう、と手の中の包みをもう一度見た。確かにイタリアでは見ない包みで、裏にも製品 情報が日本語で記してある。「よくやりますねぇ」と、呟く。 「弟分のためだからな。一応、お前達の分ももう少ししたら郵便で来るはずだから」 「なるほど。で、ボンゴレには直接渡したかったと言う事ですか」 「ということだ」 言ってから、跳ね馬は苦笑した。 「まさか、ツナとすれ違いになるとは思わなかったけどな。あいつ、本当律儀な」 「まあ、そのファミリー思いがボスへの道へと導いたんでしょう。これは僕が責任をもっ て、ボンゴレへ渡しておきます」 言いながら箱を掲げてみせる。「頼むよ」と跳ね馬はいかにも寛容そうな笑みを浮かべ た。数日前、律儀と気苦労で有名なボンゴレ十代目はファミリーのためのチョコレートを 仕入れに日本へ向かい、そして数日前、跳ね馬はボンゴレに日本で手に入れたチョコレー トを渡すため、イタリアに帰ってきた。 しかし跳ね馬がやってきてみればボンゴレは居らず、その他の幹部も各々の事情で(近 所で野球があるだのセクハラ医者を締めに行っただの修行などと叫びつつ山に引きこもり っぱなしだの近くの群れがうざいだの)ボンゴレの本部にはいなかった。協調性のかけら も無さそうな現状の中で唯一本部に残っていたのが、協調性の無さ代表である六道だった。 六道は凝った作りのソファを跳ね馬に勧め、紅茶でもどうですか、と問う。 「お、悪くないな」 「生憎アールグレイしかありませんが。……ミルクと砂糖は?」 「両方多めで」 「本当に紅茶を楽しみたいんですかあなたは」 「甘いのが好きなんだよ」 跳ね馬がソファに腰掛け、六道がテーブルの横に設置しているキャスターからポットを 取った。ミルクの容器を手に取り、「おや」と首を傾ける。 「本当に生憎、ミルクが切れていますね」 「げっ。……砂糖は?」 「砂糖は残っていますが」 角砂糖の瓶を指さすと、少しだけ唸ってから、跳ね馬は頭を掻いた。六道は笑う。 この人物は初めて出会ったときに、実年齢以上に老成している雰囲気があった。もちろ ん、肉体も精神も若々しいのに違いはない。しかし、経験の質か差か、瞳が年齢以上の何 かを物語っていたのだ。純粋に、興味が湧いた。 しかし言葉を交わしてみれば、年齢を遙かに下回る精神、思考、生活態度。そのギャッ プを面白がりながら、六道は、この人物の意志に気付いた。自分が初めて出会った時に感 じたよりも、堅く、重い、それでいて真っ直ぐな意志。 けれども今目の前にいる跳ね馬は、唇を尖らせてミルクをねだるような、そんな人間な のだ。 「しゃーねーな。それでくれ」 「しょうがない、とまで言うなら飲まないという選択肢もありますが」 「せっかくお前が煎れてくれるんだろ?」珍しい事は逃したく無いんでな。 一々人が良さそうに跳ね馬は笑う。その、あまりにも現代ボンゴレに似た表情を見なが ら、六道は二人分のカップを取り出した。 07/02/13 結構無茶な組み合わせ。しかし合わせてみると案外面白かった。ただしなかな かカプにはならない。なぜ。 基本、恋愛がかけないからなぁ。多分これもディノツナ+骸とかじゃなくて、 普通にディノ+ツナ+骸だとおもう。 この後ツナが帰ってきて、みんなで骸の部屋でたむろい始めるんだろうなぁ。 獄とか紅茶にケチ付けて一戦交えそうだ。いいなぁ。 普通に仲の良い友情の方が楽しいらしい、自分。というかバレンタインの香り が全くしないよ!